消えた遺体
2009-04-05


12日のイースター(復活祭)を前にして、前回は

(1) イエスが十字架上で確実に死亡したこと

について考え、イエスの死因は窒息死であると書きました。
 今日はその続きで、

(2) 埋葬されたイエスの遺体が墓から消えたこと

について考えます。
 このことについて『ナザレのイエスは神の子か?』(いのちのことば社 2004)では著者は神学博士のウイリアム・クレイグ氏にインタビューしています。クレイグ博士はいくつかの理由を挙げてイエスの遺体が消えたことは間違いないとしています。複数の理由の中で最も私の目を引いたのは、イエスの遺体が消えたことは4つの福音書の全てに記されており、しかも第一発見者が女性であったことも四福音書の全てに共通しているということです。当時、女性の社会的地位は非常に低く、もしイエスの遺体が消えたことが作り話であるなら、第一発見者は信憑性を高めるために男性にしたに違いないと博士は述べています。ナルホドです。
 私はイエスの遺体が消えたことが4つの福音書全てに書いてあるということだけで、このことは信頼するに値すると考えますが、以下に私独自の考察も記してみます(同じことを考えている人も多いことでしょう)。
 マタイの福音書28章の11-15節に興味深い記事があります。イエスの墓の番兵たちが眠っている間にイエスの弟子たちが遺体を盗んで行ったという話を、イエスを十字架に付けた祭司長たちが捏造してユダヤ人の間に広めさせたというのです。私はこの記事が、イエスの墓が空になったことの決定的な証拠になると思います。イエスの遺体が墓にあるのなら、祭司長たちは少しも困ることはなかったのですから、祭司長たちが困った挙句に弟子たちが遺体を盗んだことにするという苦肉の策を編み出したことなどマタイが書くはずがありません。まして、この記事は弟子たちが本当にイエスの遺体を盗んだのではないかという疑惑を招きかねない記事です。それでもマタイが敢えて書いたということは、イエスの墓は本当に空になったのです。
 では、弟子たちは本当にイエスの遺体を盗んだのでしょうか。それは、絶対にあり得ません。遺体を盗んだとしたら、イエスが復活しなかったことを弟子たち自らが知っていることになります。イエスが死んでいるのに、イエスはよみがえったという嘘の福音を宣べ伝えることができるでしょうか。弟子たちは迫害にあっても宣教を続けました。イエスが死んでよみがえらなかったことを知っていたら、迫害に屈せずに頑張ることなどできるはずがありません。
 では、弟子たち以外の何者かが遺体を盗んだのでしょうか。盗んだとしたら安息日に盗んだことになります。安息日の律法を犯し、しかも番兵がいるのに危険を冒してわざわざイエスの遺体を盗む者などいるでしょうか。イエスの遺体が財宝で装飾されていたのなら、その可能性もありますが、イエスの遺体と墓に財宝などありそうもないことは誰でも知っていることです。また、イエスを憎んでいた者もイエスの遺体が無いのは不都合ですから、盗みはずがありません。

 結局、結論としては、イエスの遺体は誰に盗まれたわけでもなく、忽然と消えたことになります。

「すると、御使いは女たちに言った。『恐れてはいけません。あなたがたが、十字架につけられたイエスを捜しているのを、私は知っています。ここにはおられません。前から言っておられたように、よみがえられたからです。来て、納めてあった場所を見てごらんなさい。』」
(マタイの福音書28章5,6節)
[信仰]

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