いざ出陣
2006-02-26


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3月は学会・研究会が各地で盛んに開かれる。私も4つに参加予定で、そのうちの2つは主催者側、あとの2つは参加者として発表予定だ。
 発表予定の研究会と学会では、金属の新しい塑性変形機構を提唱することにしている。桐谷先生が10年以上前に実験で偶然に発見した新しい変形現象のメカニズムを説明するものだが、そのメカニズムの解明には今まで誰も成功していなかったので、学会では結局、新しい変形機構など存在しないのだという雰囲気になり、新しい機構の存在を主張し続けてきた桐谷先生が3年前に死んでからは、この研究を続ける者が極端に減ってしまっていた。私もそろそろこの研究テーマから足を洗おうかと考えていたのだが、その矢先の昨年の7月末、意外性に富んだアイデアを天から突然与えられた。すぐにこのアイデアを論文にしたが、これまではこの論文が雑誌に掲載される見通しが立っていなかったので、控えめにしか発表できていなかった。しかし、この2月15日に論文が雑誌に掲載されたので(S.Kojima and H. Fujii, Materials Transactions, Vol.47, No.2 (2006) pp.298-301. 掲載を認めて下さった査読者に感謝します)、これからはやっとでこのアイデアを大々的に宣伝できる。いよいよ本格的な戦闘の開始だ。
 塑性変形といえば転位論でほとんど説明できると多くの研究者が思い込んでいるので、新しい変形機構を認めてもらうまでには、多くの戦いを強いられると思う。でも粘り強く主張し続けていきたい。もちろん新しい機構を確かなものにするための実験や計算も進めていかなければならない。この研究が進めば、より強度に優れた材料の開発にもつなげていくことができると期待できる。桐谷先生が達成できなかったことを成し遂げて、恩返しとしたい。

☆主よ。私と争う者と争い、私と戦う者と戦ってください。
 盾と大盾とを手に取って、私を助けに、立ち上がってください。
 (ダビデによる。詩篇 第35編 1,2節)
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